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Shelica globeの活動は「seeding health literacy in children and adults〜世界中の人たちに小さな健康の種を蒔きたい〜」という思いから始まりました。管理人は内科医を30年続けつつ4人の子供を産み育ててきました。子育てと診療の経験から、健康の維持に必要な情報を少しでも多くの人に発信したいと思うに至りました。Shelica globeは、人が健やかな一生を送るために役立つ現代医学・栄養学・食育の情報を、わかりやすく発信するプラットホームを目指します。
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アルコール依存症とは?年齢を問わず知っておくべきリスクと対策

2025 4/03
生活習慣病予防
2025年3月7日2025年4月3日

こんにちは!
内科診療歴34年のみさちゃんです。

「最近、お酒の量が増えた気がする…」
「飲まないと落ち着かない」
「家族や友人から飲みすぎを指摘されたけど大したことない」
そう感じている方はいませんか?

アルコールは、適度に楽しむ分には問題ありませんが、
飲酒が習慣化すると 依存症のリスク が高まり、
健康にも悪影響を及ぼします。

アルコール依存症は、本人だけでなく、その家族も巻き込む病気です。
私は35年前の医学生のころ、実習でアルコール依存症・家族の会に参加したことがありました。
患者の妻の方から「アルコール依存症の人とは絶対に結婚しちゃダメよ!」と忠告を受け、
並大抵のご苦労ではないのだろうと思ったのを憶えています。


出典 厚生労働省「アルコール健康障害に係る参考資料」

日本では、
多量飲酒をする20%の人が、全体の約7割のアルコールを消費しているとされています。
大量飲酒を続けることで アルコール依存症や生活習慣病のリスク も上昇します。

この記事では、アルコール依存症のリスクや、
チェックリストを使った セルフ判定法、
健康的な飲酒習慣の作り方について詳しく解説します。

「自分は大丈夫」と思っている方も、
ぜひ一度チェックしてみてください。

目次

アルコール依存症ってなに?

アルコール依存症は、
お酒を飲むこ
とが習慣化し、やめられなくなる病気です。
WHOによる国際疾病分類第10版では、

「アルコール使用による精神及び行動の障害」に分類されており、
精神疾患の一つとされています。

仕事や生活のストレス、
人間関係のストレス、環境変化のストレス
など、
さまざまなストレスを紛らわすために、酒量が増えることがあります。

ここでは、
アルコール依存症のリスクや予防策について
詳しく解説していきます。

日本におけるアルコール依存症の現状

2003年の成人の飲酒実態調査においては、日本におけるアルコール依存症の有病率は、男性1.9%、女性0.1%、全体で0.9%、
アルコール依存者数は約80万人、
予備軍も含めると約440万人と推計されています。

近年、日本では飲酒運転の厳罰化が進み、
アルコールによる交通事故の死亡件数は減少傾向にあります。
しかし、依然として
2023年には112人が飲酒運転による事故で命を落とし 、
飲酒運転違反の件数は増加しています。

諸外国の報告では、飲酒運転で事故を起こした人または逮捕された人の25-50%はアルコール依存症とされており、
飲酒運転をさらに減らすことは、アルコール依存症対策なくしては難しいこともわかってきています。

また前述のグラフにあるように、
日本では 多量に飲酒する
20%の人が全体の70%のアルコールを消費している ことが
明らかになっており、これはOECD諸国の中で3番目に悪い値です。

多量な飲酒とは、
1日平均で、純アルコール60g以上(ビールなら1.5リットル以上)を摂取する習慣があることを言います。
日本では男性の15%、女性の8%がこれに相当するとされています。

このような大量飲酒が続くと、
アルコール依存症のリスクが高まります。
まず大量飲酒を減らす対策が必要なのです。

アルコールが体に与える影響

 生活習慣病のリスク増加

アルコールを 毎日、男性で40g以上、女性で20g以上摂取すると、
高血圧、糖尿病、脂質異常症などの
生活習慣病のリスクが高まる ことが分かっています。

厚生労働省による令和4年度の「国民健康・栄養調査結果」によれば、
生活習慣病のリスクを高める飲酒をしている人の割合は、
男性13.5%、女性9.0%でした。

下記の計算方法で、ご自身のアルコール摂取量を計算してみてください。

純アルコール量の計算方法

純アルコール(g)= アルコール度数(%) / 100 × 飲酒量(ml) × アルコール比重0.8(g/ml)

例えば、ビール(アルコール度数5%)500mlの場合

0.05 × 500 × 0.8 = 20 g

アルコール摂取量20g以下は、1日あたりの男性の適量とされますが、アルコール代謝力の低い高齢者や女性の適量はこの半分の10g以下が理想です。

 

精神的な影響

アルコールは一時的にリラックス効果をもたらしますが、
長期的に見ると
うつ症状や不安感を悪化 させる可能性があります。

肝臓への負担

過度な飲酒は 脂肪肝・肝炎・肝硬変 など、
肝臓の病気を引き起こす原因となります。

アルコール依存症チェックリスト

「私は大丈夫」と思っていても、
知らないうちに依存状態になっていることもあります。

以下の CAGEテスト でチェックしてみましょう。

 CAGEテスト(はい/いいえで答えてください)

 

  1. お酒を減らそうとしたことがあるが、うまくいかなかった
  2. 人から飲みすぎだと注意されたことがある
  3. お酒のことで罪悪感を感じたことがある
  4. 朝、迎え酒をしたことがある

2つ以上当てはまる場合 は、
アルコール依存症の可能性があります。

また、 WHOが作成したAUDITテスト を活用すると、
さらに詳しい質問による判定がなされます。

AUDITテストの詳細はこちら

アルコール依存症を防ぐためにできること

適量を守る

  • 1回の飲酒量を 純アルコールで男性は20g以下、高齢者・女性は10g以下に抑える
  • 休肝日を週に2日以上設ける

    適量なアルコールの例 日本酒 180ml、ビール 500ml、ワイン 180ml、ウイスキー 60ml、
    焼酎 約110ml、酎ハイ(7%)350ml

食事と一緒に飲む

空腹時の飲酒は アルコールの吸収が早まり 、
悪酔いや急性アルコール中毒のリスクを高めます。

 ストレス解消法を見つける

  • 運動(ウォーキング・ヨガ)
  • 趣味を楽しむ
  • リラクゼーション(瞑想・アロマ)

まとめ

アルコール依存症は、
気づかないうちに進行する病気です。

特に ストレスの多い環境にいる人は、
飲酒量が増える傾向
にあるので注意してください。

「ちょっとお酒の量が増えているかも…」と思ったら、
まずは
飲酒習慣を見直す ことが大切です。適量を守り、健康的な生活を心がけましょう。

もしも不安を感じたら…
アルコール専門外来やカウンセリングを受けることで、
適切な対処が可能です。
下記のサイトからアルコール依存症に関する相談ができる全国の医療機関を検索できます。

アルコール依存症ナビ
http://alcoholic-navi.jp/

アルコール依存症の場合は、飲酒量のコントロールができないため、断酒を続けることが唯一の回復法とされています。

参考資料
厚生労働省 アルコール健康障害に係る参考資料
厚生労働省 成人の飲酒実態と関連問題の予防について
厚生労働省 e-健康づくりネット あなたの飲酒量はどれくらいでしょうか?

生活習慣病予防
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プロフィール

みさちゃん

こんにちは!
Shelica_blog管理人のみさちゃんです。
【みさちゃんはこんな人】
・4人の子どもを育てつつ、医師として30年以上勤務
・循環器内科で心臓病の患者さんを診療・現在は一般内科医・漢方医としても診療

【ブログを始めるきっかけ】
産業医として会社員の健康管理に携わる中で、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病をコントロールすることの大切さを痛感。生活習慣病の早期発見と早期改善の有効性を実感しました。
しかし、患者さん自らがその重要性を知らなければ本当の意味での健康管理はできません。病気の怖さを知っている医療者だからこそ発信すべき情報は沢山あるのではと思い、ブログを始めることにしました。

【Shelica globe】
Shelica globeには「世界中の人たちに小さな健康の種を蒔きたい」という思いを込めました。
人が健やかな一生を送るために役立つ現代医学・栄養学・食育などの情報をわかりやすく発信していきます。

半下石美佐子
埼玉県立浦和第一女子高等学校卒
筑波大学医学専門学群卒
医師・医学博士
日本内科学会 総合内科専門医
日本循環器学会 循環器専門医
日本東洋医学会 漢方専門医
日本医師会 認定産業医

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